花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎 『フィッシュストーリー』

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年末年始の忙しさで、なかなか読み切れなかった。

最初の「動物園のエンジン」は時間がかかりすぎた。
内容的には、あまり仕掛けのない、あっさりとした展開。
長編ものに慣れていると、やや物足りなさを感じる。

次の「サクリファイス」は人気キャラの黒澤の登場で、
懐かしさのある推理小説、といったところ。
懐かしい、という意味で楽しめた。

タイトルにもなった「フィッシュストーリー」は
伊坂らしい作品。ややぶっきらぼうなストーリー展開が、
かえってアクセントがついて面白い。
映画化されるようだが、行間を埋めるサイドストーリーが
作り手の実力次第で、良くも悪くもなろう。

最後の「ポテチ」は、設定を特殊にしておいてから、
物語を紡ぎ・解(ほど)いて行く過程を読ませる面白さがあった。
最後は、どことなくじんわりとくる。

まずまず、楽しめた。