花鳥風月記

流れる水に文字を書く

ブラッド・ダイヤモンド

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今日はレディースデーのためか、銀座の映画館は混んでいるところが多かった。
しかし、この映画はさほどの入りではなかった。
最近、「アフリカもの」が流行っているそうだ。最近観たものでも、
「ツォツイ」「約束の旅路」「BABEL」などもアフリカが舞台になっている。
共通しているのは、どうしようもない「暴力」「権力」そして「死」が隣り合わせにあり、
その題材の緊張感と、観る側の日常生活とのギャップが強く心に残るのだろう。
つまりは作品によっては、観る側の心を引き付ける方策としてアフリカを選ぶ場合もあるのでは、
と思うこともある。
本作品は、シエラレオネの内戦を舞台としている。
紛争ダイヤモンド(ブラッド・ダイヤモンド)の密輸に携わる元傭兵(ディカプリオ)
革命軍の横行により息子を奪われた猟師
そして紛争ダイヤ密輸の実態を追うジャーナリスト(ジェニファー・コネリー)
が主な登場人物。
ある大きなダイヤ(100カラットのピンクダイヤ)をめぐる、
利権や権力そして名誉という様々な欲望が絡み合っていく展開となる。
子どもが薬物に溺れ、洗脳されながら機関銃を乱射して民間人の殺戮に手を染める。
また、逃走を避けるために、手足の一部を切断するという痛ましい場面を重ねながら、
最後にダイヤと密輸の真相が猟師とジャーナリストに託される。
後に紛争ダイヤを排除する「キンバリープロセス」に結実するストーリーである。
社会派「エンターテイメント」の性格上、問題の「掘り下げ」に物足りなさを感じるところはある。
ディカプリオが最後に力尽きるところなどは『タイタニック』の焼きまわしのようであったし、
密輸ダイヤをめぐるその後の展開は拙速すぎる。
(これは勿論、現存するスポンサーがあるからなのだろうが…)
冒頭にふれた「約束の旅路」には敵わず、ストーリーの大きさを捉えきれないところで「ツォツイ」
「BABEL」よりもやや劣る。エンターテイメントとしての限度なのだろう。
しかし、見ごたえもあり、良作だと思う。
ジェニファー・コネリーが想像以上に年齢を重ねた印象があり、それが落ち着いた雰囲気をつくり、
あっさりとした役柄でよかった。
また、テーマ曲のユッスー・ンドゥールの澄んだ高音が、映画のイメージを良く締めていた。