花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(135) そばめしの系譜

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

最近、コンビニでは、いろんな種類のおにぎりが売っている。
「おにぎり」と「おむすび」には基本的な違いがないが、
どこかふわっとしたイメージがあるのがおむすび。

今回は、その中でも、麺類のおむすびを3つまとめて買ってみた。
「日清やきそば」「チキンラーメン」「出前一丁」の3種類。
カロリーは200~250キロカロリー程度。やや高め。
まあ、そのものというより「風味」を大事にしているようだ、
麺も細かく入っている。
チキンラーメンコンソメの味が強かった。
出前一丁は、もともとのラーメンとは縁がなく
サッポロ一番派のため)「こんな感じか」と思うくらいだった。
日清やきそばは、ソース味が利いていた。

「そばめし」といえば、神戸は長田の「青森」を思い出す。
阪神大震災の翌年に訪れた。
当時パンチ佐藤が、この店を勧めていた。
確か店内にも、パネルがあったような思い出がある。

もう、13年ほど前になる。
長田の街は、いわゆる庶民的な街並みが続いていて、
それ故に、被害も大きかった。
街のアーケードも、天井にはいくつもひび割れがあり、
道路も復旧作業中で、舗装されていないところも目立った。
駅前には復興住宅の大きな団地もあった。

残った小さな家屋では、いつもながらと思しき商売が営まれ、
酒屋の奥のカウンターには、おっちゃんが立ち飲みで酒をあおっていた。
決して長居はせず、一杯飲んで、一息ついて店を後にする。
どことなく「おっちゃん肩で風切ってるぜ」と言っているような感じがした。

そばめしの青森は、夕方からの開店で、しばらく待った。
ようやく中に入り、メニューで迷い、オススメを聞くと、
やはりそばめしを勧められて注文。
やきそばが細かく砕かれ、ご飯と一緒に炒める。
まあ、やきそばとライスの炭水化物コンビを一緒に炒めたと思えば、
料理は分かりやすい。
出来たてのそばめしは、味を云々よりも、とにかく熱かった。
もう少し落ち着いて食べれば良かった、と後悔した。
しかし、熱いものを頬張るのは、時として至福の時でもある。

店を出た夕刻の街並みは、サラリーマンの帰宅の波が迫ってきた。
ふとアリスの「夢去りし街角」の歌詞を思い出した。
…………………………………………………………
街には家路を急ぐ人が
足早に目を伏せて安らぎ求めて
…………………………………………………………
変わりゆく街角の風景にこの歌が沁み渡っていった。

そんな時代をじんわりと思い出しつつ、
現代の商品化され、東京・高田馬場のコンビニに流れ着いた
おむすびを見つめていた。