花鳥風月記

流れる水に文字を書く

重力ピエロ

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シネカノン有楽町1丁目にて。
伊坂幸太郎の原作の映画化。

原作との違いにやはり目が行くところだが、
映画化に関しては、細心の注意を払っているような印象を持った。
全てを忠実に盛り込まないところに潔さを感じた。

兄・泉水と弟・春の性格というか印象をはっきりさせるため、
兄役の加瀬亮の、どちらかというとヘタレっぽいところが良かった。
小日向文世のカツラは妙に痛々しいところがあったが、
それがかえってデフォルメされた感もあり回想を盛りたてる。

原作では、もう少し母親の回想(例えば競馬場での一件)があったが、
今回は、ストーリーに添えるような感じの演出に留まっていた。
それが、兄弟や家族愛を強く押し出すイメージ作りに向っていったものの、
それがかえって、弟・春の所業を過度の贖罪イメージを濃くしてしまったのは、
唯一の難点か…。

渡部篤郎も、悪役が嵌ってきたなあ、と感じた。
まあ、原作を読んだときには、もう少しでっぷりとしたイメージを抱いていたが…。

今回は、あんまり「冒険」せず、手堅く作った印象を持った。
ので、原作を知っている人はそれなりの面白さを感じるだろうが、
それを超えた面白さは感じなかった。
そして、原作を知らない人が観たらどうなのか、と
少し首をかしげたくなった。


伊坂作品がどんどん映画化されている。
どうやら「ゴールデン・スランバー」も決定されたらしい。
期待どおり・それ以上・それ以下…そんなハラハラ感を
観るのも面白いかもしれない。