花鳥風月記

流れる水に文字を書く

ブッシュ

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有楽町スバル座にて。今回、初めて利用する。
スクリーンのど真ん中に通路がある。
やや古くなった映画館、という印象がある。
ロードショーは、ここが発祥、とのこと。

オリバー・ストーンの描いた、ブッシュは、
父の威厳や栄光に圧されながらも、もがいた不器用な男の像が浮き彫りにされていた。
実際、彼の印象は、アメリカの良き時代の気の良いオッサンに例えられることがある。

かといって、まったく批判の眼を挟む余地がない、ということはなく、
オリバー・ストーンならではの、ブッシュの持つ依怙地さや汚さを表現している。

但し、恐らく想像に難くないのは、マイケル・ムーアアル・ゴアの作品に
かなり意識して、この作品イメージを作ったのではないか、ということ。

そこには、2000年の大統領選挙での薄氷とも疑惑とも記憶されるような
一件は、出てこなかった。
その代わり、夢にうなされる中で、父ブッシュとの諍いの中で、
ふと、その記憶を彷彿とするようなことばが、発せられる。

人は何も一点の非がなく生きているのではない、
そんなことが、人間としての不完全さを魅力に仕立て上げている、
ということではなかろうか。

そういった意味では、極めて日本のドブ板選挙的な浪花節とも
感情の共有が出来てしまうのではないか。

小ブッシュは今後どう評価されるのか。
まだ時間の生々しさが残る現在では、
冷静に、というのは無理かもしれないが、
そこに、オリバー・ストーンの韜晦(とうかい)さが垣間見られる。