花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎 『陽気なギャングの日常と襲撃』

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陽気なギャングが地球を回す』の続編。
4人のそれぞれの性格が、変わりなく(といっても、設定は1年後だが…)
持ち味が小気味良く効いていた。

ちょっとしたふりも、最後にはきっちり収まるという
やや几帳面すぎるオチもあるが、当初の設定から大幅に変えた、
ということも影響があるのだろう。

人の良い(ある意味愚かな)誘拐犯と、
それに悪だくみを画する一味、
それを超然と見渡す社長令嬢、
となんかかみ合わないハーモニーを奏でながら、物語は加速する。

まあ、カジノに乗り込んだあとのどんでん返し的なノリは、
悪ノリ感もあるが、それが逆に面白い、というか映像的にシュールな感じがする。
それが冷静沈着な成瀬や雪子が立ち回る、というのも面白い。

前作を読んだ人が、一人のストーリーテラーを伴って楽しむような
そんな面白さがあった。