花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(167) 麻布十番から六本木へ

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麻布十番に久々に行く。
麻布十番温泉「越の湯」閉店以来、足が遠のく。
思い起こせば、小学校の頃に麻布十番温泉に行って、
それからだいぶ経ってから自分で見つけて、行くようになった。
当時は、南北線大江戸線がまだなく、六本木から歩いていった。
勿論、六本木ヒルズなんかもなかった。

久々に足を踏み入れると、たいやきの浪花屋総本店は相変わらずだったが、
麻布十番温泉は、更地になり、コインパーキングになっていた。
…ったく、いつの時代の地上げだよ、とひとりごちる。

そんなことを姉と電話で話しつつ、いつの間にか六本木ヒルズに着く。
特にあてもなく素通りしようと思った。
地下鉄の駅へと続く長いエスカレータには、
家電メーカーの大きなポスター広告があったが、
以前はもっと電飾ハデハデではなかったか?
こんなところにも不況の波があるのだな、と思った。

ちょっと引き返して、もう少し街中を歩くことにした。
途中、牛とソフトクリームの模型に出くわす。

元山ミルクバーのミルクスタンドでソフトクリームを買う。
普段は480円だが、タイムサービスで350円になっていた。
観光客のいない平日午後だからさもありなん、と思ったが、
10月のやや肌寒い日は、200円でも、買う人はいないだろう。
ミルクの味が濃厚だったが、食後に寒気を感じ、案の定、鼻かぜになる。

六本木交差点から少しあるくと、もうミッドタウンに着く。
少し歩き回り、「新しい現実」氏が書いていた居酒屋や、
そこかしこのラーメン屋を見て、
やや懐かしめの青山ブックセンターへ。
倒産・再建とあって、取り扱う品数は減っていた。
特に美術書はなかなか難しいのだろう。
それでも、量販的な大型店とは一線を画しているようだった。
麻布十番から六本木を歩いてみて思うのは、
不景気を言われている時期にずーっと再開発していた地域の
独特な不穏な空気がある。

進むのか・戻るのか。そんな迷いがあちこちに感じられた。