花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び (16)

イメージ 1

平穏に…

春を告げるには、過分にも温かい昼下がり、
上空に飛行機雲がたゆたう。

機尾から発する白い蒸気は、その端からまだらになり、
いつの間にか、空の青に消えてゆく。

目を細めてじっと見ると、線が帯となり、泡となり、点となり、消えてゆく。
しかし見つめ続けるほど、悠長ではなく、
視線を下ろして、歩き始める。
しかし、ちょっと気になって、空を見上げると
そこにはもう、何もない。

「平穏」とはきっとこんな感じなのだろう。


第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、
     廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、
     かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。