花鳥風月記

流れる水に文字を書く

筆致俳句 (21)

日和見の 苦渋の色は 何色か

く-じゅう【苦渋】[名・形動]
1にがくてしぶいこと
2苦しみ悩むこと。また、そのさま。
「―を味わう」「―の色を浮かべる」
「彼は―な表情のままずっと煙草を吸っていたが」〈横光・上海〉(大辞泉より)

沖縄の米軍基地の移設先について県外移設が困難な状況、との報道が続く。
政権交代後に次々と出てきた公約(マニュフェスト)違反。
半ば憤慨・半ばあきらめ、といった状況が続く。

「苦渋の選択」を耳にすることがある。
今でも印象に残るのは、「自社さ」政権時の村山富市首相の所信表明演説
「日米同盟を堅持し…」(注:記憶曖昧)から放たれる
社会党(当時はもう社会民主党)からの党是から、かけ離れた文言の数々に
喝采を送っていたのは、自民党議員だった。

その後、「痛みをともなう“改革”」(小泉政権)など、
言葉の美辞麗句が、次々と放たれるが、
苦渋の色や、痛みの痛覚が、話す本人からは想起されない。

今度の結論には、どんな言葉が出てくるのか。
「断腸の思い」という言葉なら、一度腹を掻っ捌いて(かっさばいて)見たい、
というのが、かの地の人たちの想いであろう。