花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び (17)

イメージ 1

その賠償を求めることができる!

先日、所ジョージの番組(確か「笑ってコラえて」だったか)で、
1996年5月3日賞なるもので、ベアテ・シロタ・ゴードンさんが紹介されていた。
…………………………………………………………………………………………………………
【日本列島 ちょっと昔の旅スペシャル】
今回は、64年前「日本国憲法の草案作り」に携わった、
当時わずか22歳のアメリカ人女性ベアテ・シロタ・ゴードンさんの物語。
この時、草案作りに与えられた時間はわずか9日間。
その知られざる9日間の全貌とは!?
そして、今なおご健在。86歳のベアテさんがニューヨークからスタジオに緊急来日!
マッカーサーのマル秘エピソードや、GHQ時代の貴重な品々など一挙公開! 
現在生きている、日本国憲法草案作りに携わった唯一の人物であるベアテさんの貴重な
お話を伺う事ができるのは笑ってコラえて!だけです。 (番組HPから引用)
…………………………………………………………………………………………………………
本来、第24条で触れるのが普通だが、この番組を観て思った雑感がいくつかあった。

一つ目は、読売グループのTV局が扱ったことだ。
憲法改正にうるさかったグループが、バラエティでありながら扱ったこと。
バラエティならばこそ、自由なのか分からないが、まあ、珍しいなあ、と思った。
しかしながら、「良い話」であれば上層部の思想は関係ナシ、といったところか。

二つ目は、弁護士(憲法家)は政治家だなあ、と思ったこと。
女性アナウンサーが、キャスト紹介の際、女性弁護士を
男女平等が実現した数年後に生まれ、……
まさにこの憲法の申し子と言える……(記憶曖昧)といった紹介にもかかわらず
「いえいえ、そんな…」と謙遜をしていたが、それがいかにも政治的に思えたこと。
他の女性キャストは「(この憲法を作ってくれて)ありがとうございます」と
言っていたのと対照的に、この弁護士は一言も感謝の言葉を言わなかった。
のか、言えなかったのか。ある意味、政治的判断があるのかなあ、と感じた。

いろいろと勘ぐれば、枚挙に暇(いとま)がないが、この辺で、言葉を結ぶと、
日本国憲法は、様々なドラマで語られているが、その底流として
他国の憲法も比較した上で、理想的な憲法が出来上がったにもかかわらず、
公僕たる公務員・政治家は、決してこの憲法を尊重して運用しなかったことは
よく言われる。

それこそ、国民がその運用を徹底しなかったことに対し、
賠償を請求してもしかるべきでは、という気持ちがあったと同時に、
今はもう、草案者ではただ一人の存命者となったシロタさんが、
「作ったものと違うではないか」と訴えても一理あるなあ、と感じたこと。

勿論、そういったことの現実性は乏しいし、よくある行政訴訟も、
せいぜいベタ記事程度にしかならないのかもしれない。
それであっても、この憲法の作り手と、その問題提起をする人たちに共通するものは、
隣人・コミュニティにたいする「愛」の発露と言えるのではないだろうか。
頭が良い(と思われる)秀才は、そのあふれ出す言葉によって
むしろ、その直感的なメッセージに目を伏しがちになってしまうということもあろう。

「過去に目を閉ざす者は、現代にも盲目となる」(ヴァイツゼッカー)の
言葉を借りるならば、こうなるだろうか。
「愛に目を閉ざす者は、情にも盲目になる」

法律は何のためにあるのだろう。


第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定める
     ところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。