花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び 番外

イメージ 1

2010年5月3日の社説を読み比べる

今年も、朝日・毎日・読売・東京・産経・日経を読み比べる。
昨年の文章も確認したが、憲法をめぐる内容としては、あまり変化がない。
やはり憲法調査会の空転を恨む文章が見受けられたが、
朝日にいたっては、18日に国民投票法が施行されることすら、触れていない。

やはり、今回の「よくできました」は東京新聞だった。
歴史的な視点から、普天間憲法を論じた真摯な文章だった。
逆に毎日は同じような視点でも、どことなく総花的で、心に響かない。
今度主筆になる岸井氏による文章だろうか。近視的。
虫眼鏡では、世界が見えない。
もう一点、毎日の社説の向かい面に創価学会の全面広告が…。
喉元に匕首を突きつけられているような印象を持った。
ちなみに日経以外の全紙に広告が出ていた。

読売も、自民党寄りの姿勢を残しつつも、民主党の不備を列記する。
これはある意味大事なことだが、社会に向けての発信が乏しい。
また、外国人参政権などの議論は、社の事情か、固陋の域をでない。
しかし、沖縄基地問題憲法9条・25条の意見広告が出ていたことから、
いわゆる反転の潮流が伺える。

日経は、2つのうちの一つ、という感じで、あまり熱心さが伺えない。
産経は、日米同盟・集団的自衛権を確固たるものとして中国を警戒せよ、
といつもながら勇ましい。でも今、何で中国?と思ってしまった。
むしろ、一面から続く石原慎太郎の「ぼやき節」の方に目が行く仕掛けになっている。

朝日は、妙な論調だった。これがはたして「論」なのか「説」なのか。
いわゆる地方自治の試みを紹介しているのだが、そこ・ここの「憲法」が
日本国憲法とどうつながるのか。
積極的に守ることも・論じることも・活用することもしていない気がした。
恐らく、普天間の件も含め、意見がまとまっていないから、
こういった内容になったのではないかと感じた。
そういった意味では、きっと朝日は「右」が多くなったんだなあ、ということと、
明晰な論者がいなくなったのだろう、ということが伺えた。