花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎 『マリアビートル』

イメージ 1

手にとって、一両日で読了。
面白いと時間を忘れる。
後でみたら、460ページほどあった。

グラスホッパー』の続編、とのことだが、
色濃い続編、ではなくこの本のみでも楽しめる。

また、東京発盛岡行きの新幹線の車内、
という限られた時間と空間で所狭しと場面が展開する。
あちこちに貼られた伏線に意識しつつ、その大団円を楽しむのも
伊坂のお決まりのパターンだった。

中学生の王子のもつ残虐性に、ハラハラ感と嫌悪感をもちつつ、
しかし、その最後は、サラッと仕上げるところが、
読者に残虐性を追わせない、伊坂なりの流儀のような気がした。

偶然と必然、幸運と不運、さまざまな要素が織り交ざり、
題意がふわり、と出てきたところや、
最後のスーパーでのシーンが、心憎い。