花鳥風月記

流れる水に文字を書く

ドアーズ まぼろしの世界

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シアターN渋谷にて。
以前、オリバー・ストーンの「ドアーズ」という映画を観たことがある。
1991年に製作。約20年前だが、その映画で、ドアーズのCDを買った。
ロックスターの栄光と挫折そして夭折、と伝説になるには充分すぎる条件が揃い、
今でもカリスマ的なアイコンとしてずっと若い世代にも語り継がれている。
当時の若者は、とっくに中年を過ぎて、
今は若者に嫌われる存在になっているというのに…。

オリバー・ストーンの映画は、勿論、ドキュメンタリーに近いフィクション
(一時期、日本でもノンフィクションというフィクションが流行ったが)で、
この映画では、反オリバー・ストーンの意味合いも込められているようだ。
そのせいか、回想シーンのドラマは一切排し、すべて実際の写真・フィルムで
構成されている。

ジム・モリソンが製作した「HWY」という映画のカットを繋ぎ合わせ、
ストーリーを仕立てながら、27歳で逝ったカリスマの軌跡を追っている。
ナレーションは、ジョニー・デップ。(あんまり映画は観ないが…)

ジム・モリソンのカリスマ的な逸話については、
オリバー・ストーンの映画で観たものと、そうは変わりなかったが、
ジム・モリソンの実物の写真・フィルムで、そのリアルな変貌振りが、
つぶさに見られて良かった。
しかし、自信のないボーカルの時でも、人気の絶頂の時、
クスリや酒に溺れた時であっても、
意外とあどけない感じだなあ、と思った。

もしかしたら、それがカリスマたる所以だったのかもしれない。
ドラマ仕立てではなかったので、82分という時間も
飽きさせず、潔くて良かった。
アメリカの退廃的な若者文化や、ロックの1ページを知るには
良いドキュメンタリーだと思った。