花鳥風月記

流れる水に文字を書く

七瀬ふたたび

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シアターN渋谷にて。

筒井康隆の「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」
3部作は、昔読んだことがある。

NHKのドラマで、多岐川裕美が七瀬を演じていたのを観てから読んだのか、
その前に読んだのか、記憶が定かでない。
ただ、そのドラマが放映されたのは、1979年のことだったから、
11歳くらいの時のことだから、よほど記憶に残るドラマだったのだろう。
あの時のヘンリーは、カッコよくも、恐かった。
今回のヘンリーは、あのダンテ・カーヴァーだったので、
紳士的な感じで、どこかから、あの「お父さん」が出てくるんじゃないかと思った。

その後、「七瀬ふたたび」は何度か映像化されたが、
原作を元に、様々なストーリー設定がなされた。
共通しているのは、超能力(未知能力)に対する偏見と排除といった
人間の悲しい一面をどう受け止めるか。
「共生」という選択肢が見つからないまま、
彷徨い、消えゆくその悲劇が、共通するストーリーとなっている。

火田七瀬は芦名星。良かったんではないかと思う。
良い意味で「無色」だからこそ、いろんな彩(いろどり)が
可能になったんじゃないかなあ、と。

ビジュアル的な要素よりも、キャラクターの個性を意識していると感じた。
映像では表し難い、様々な心象風景(七瀬が心を読むシーン)など、
技術よりも先ず、よく考え、練られたものであることが分かる。
それは、実際映画として作り上げるまでに時間を要したことからも伺える。
決して派手ではなくとも、こういった丁寧な作りが、
小説からの実写化を面白くするのだなあ、と感じた。

プロローグ編は、ご愛嬌。
多岐川裕美が出ていたが、孫を連れたシーンかと思ったら、
母娘の設定だった…。(苦笑)