花鳥風月記

流れる水に文字を書く

蜷川実花展 noir

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清澄白河のギャラリーに、
奇しくも、蜷川実花篠山紀信森山大道という
著名な写真家が集結している、ということで、行ってみた。

小山登美夫ギャラリーの入るビルは、流通関係のもの。
ここのエレベーターは、運送業のためのもので、
必ず扉を閉めないと、カゴが動かない。
センサーで感知するトイレに慣れているのと同じように、
最初から、勝手に閉まるものだと思い込む人も多い。
いわゆる「アフォーダンス」の失敗である。
ビー、ビーっという呼び鈴の連呼を何度か聞いた。

ここは、エレベーターで7階(表記上はR)に位置する。
最初6階で別の写真展を見てから階段で行こうとしたら、
7階の入口は閉められ、エレベーターでしか行けないようになっている。
デッドスペースは、倉庫代わりか、ドリカムや中川翔子
「お花のあと」が置かれていた

展示作品自体は、以前行われた「地上の花、天上の色」よりも
ぐっと小規模であった。
「暗黒、黒noir」と示すように、どちらかというと、
「スピンオフ」といった感じでもある。
しかし、単なる「傍流」ではない。
当初より描く極彩色の世界、生命の力強さや鮮やかさ
―ややacidにも思えるが―と対置する「極彩色の闇」
―食肉と化した身体、屍、バラバラになった人形、
生が無いはずの世界にある、あどけない人形の笑顔、
小さな命を取り囲む原色の絨毯が雄弁に物語る。
生と死の臨界点―そしてそれが生物学的なものでない、もっと先の極点へ。
その意欲的な意識が、作品集の自筆のあとがきにもある。
「花は枯れながらも咲き乱れ
 愛玩動物は今日も檻の中 
 新しい命はひたすら生まれまくり
 一日一日死に向かって生き続ける 
 眩しいくらいに」