花鳥風月記

流れる水に文字を書く

森山大道「津軽」

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清澄白河のタカ・イシイギャラリーにて。

アレ・ブレ・ボケ―森山の写真については、そんな印象が強いが、
ロードムービーを撮るかのように、地方都市の写真も印象に残る。
1960年後半~1970年代まで、北海道・東北を撮り続けた中で、
記憶に強いのが、この「津軽」らしく、
今から34年前、1976年に撮影されたものが展示されていた。

どことなく、懐かしさを感じる写真達だった。
桜田淳子や、小野寺昭といった当時人気のタレントの写真が並ぶ。
半分くらいは分かった(笑)。

五所川原駅近くのピンク映画の看板も、当時の社会風土を表している。
今はもう、殆ど見かけないが、昔は普通に、こういった看板はあった。

雪の季節ではなかったが、風の強い土地柄を、
ネッカチーフが強風で靡(なび)く、そのモノクロで描出される線の
細やかさで表現されている。
そこには、厳しい気候の中でも、力強く生きる躍動感にも思えた。

その一方で、どことなく放置されつつある何かも感じた。
それは、そこにあるものなのか、それとも自分の記憶の何かなのか…。
回顧というものは、自己と周囲の同心円で起こるものなのだと、
写真を観ながら、感じた。