花鳥風月記

流れる水に文字を書く

筆致俳句 (26)

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世知辛い 想い応える せちはない


昨年から、人気を博している共同購入サイト。
人数が集まれば、高級品や高級レストランが安価で購入・利用できる。
ツイッターなどで、個々が営業をする訳だから、手間がかからず、
WIN-WIN関係のハッピーなシステム、と思われている。

しかし、新年の最初から、思わぬ弱点が露呈してしまった。

共同購入サイト「グルーポン」で集めて発注した
株式会社外食文化研究所の「バードカフェ」が販売した
高級おせち料理が、写真と現物がまったく違っていて、
苦情が殺到、社長は辞任に至っている。

21,000円のおせちが10,500円になる、という触れ込みで、
100名の募集のはずが、500件まで受付、結果、「捌ききれず」
写真で見ると、スカスカで、色も変色したようなモノが届いた。

ネット販売のイメージと現物の違いは、昔からあることだが、
今回、こういう形になって、改めて、その危うさを再認識した。

渦中の社長のインタビューがあったので、
見てみると、予想を上回る受注と、製造が間に合わず、
予約キャンセルか、そのまま発送か迷った、とのことだが、
ま、ある種の欺瞞は拭えない。

もともと、おせち料理は、正月を祝い、台所仕事を軽減する目的で作られている。
晦日までに、日持ちがするものを、しっかりと作っていく工程が、
正月をじわじわと認識させられたものだった。

食べ物は、いかに買う人間の「目」が試されているのか。
賞味期限が切れたって、自分の胃袋と経験値があれば、
それこそ安く買うこともできる。
それはある種の「生き延びる術」でもあるわけだが、
今回の教訓は、
「人はいかにラクをして(手を抜いて)
美味しいものを安く手に入れよう」という
「あさましさ」を戒めるものではなかろうか。

作り手にとっても、買い手にとっても、
「手間」はきっと必要であって、それは
たんなる数字的な需給で決まるだけではない、
ということを物語っているような気がしてならない。