花鳥風月記

流れる水に文字を書く

冷たい熱帯魚

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テアトル新宿にて。
愛のむきだし」で異彩を放った、園子温監督作品。
1993年に起きた愛犬家殺人事件をベースに作り上げた。

熱帯魚ショップを細々と営む家族が、
娘の万引きをきっかけに奇妙な縁ができ、
やがてそれは引き返しようのない悪夢に変わってゆく。
架空ではあるが、日時を追っていくやりかたは、
ストーリー展開に拍車をかける。
実質10日程の設定。

主人公社本の吹越満は、実直そうで優柔不断、かつその人格が壊れてゆくさまを
見事に演じている。普段、主役で見ることはあまりなかったので、
この人の意外な「力」が伺えた。

対する村田役のでんでんは、味のある悪役であった。
どうしても、昔の芸人の頃のイメージがあるが、
人懐っこさが、期せずして残虐なシーンであっても、笑いが起こっていた。
そう、人間は、どこかにそういった残虐性と耐性が
インプットされているものなのかもしれない。
園子温監督は、そこをどうやら刺激しているような気がする。
そのせいか、人物設定は割とあっさりしているので、
深く観たい、という人にはやや欲求不満が残るかもしれない。
また、グロとエロの緊切なところもこの映画では、欠かせなかった。
しかしそれは、そこだけに堕ちることのないロマンが残されていた。
それがキャッチコピーのように現れる
「この素晴らしき世界」という言葉なのかもしれない。

「ボディを透明にする」という言葉が印象的だったが、
これは、実際の事件に使われた言葉のようだ。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉があるが、
本作品は、その奇というものを縦横無尽に表現していることが伺えた。

同じ時間帯に、若い女優さんがいた。18歳は1,000円になるせいか、制服姿だった。