花鳥風月記

流れる水に文字を書く

村上たかし『続・星守る犬』

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前作は、映画化されたようで、公開のタイミングを見計らった
続編の刊行。

もともとは、続編の最初のマンガを読んだことがきっかけで、
最初の単行本を買ったが、正・続とも感慨深い作品になっている。

前作では、お父さんと愛犬ハッピーの死へとつながるストーリーがメインだが、
続編は、それを複雑に織り込むようなストーリー展開となっている。
偶然のあざとさは、この種の作品には、仕方ないことだが、
登場人物の一人ひとりがその偶然に気づいていない。
いわば、読者のみが知る、ということに作者の冷静な視点が見て取れる。

前作は、小泉政権時の「切り捨て」に対する警鐘のような印象を持ったが、
今回は、冷たさの中に潜む、どこかしらの「癒し」が
ストーリーと読者を救っているような感じがした。