花鳥風月記

流れる水に文字を書く

四つのいのち

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渋谷のイメージフォーラムにて。

人間・動物・植物・炭という四つの命のサイクルを
絵本のように紡いだ物語。

セリフのほとんどない展開と、画像の美が、
アンドレイ・タルコフスキーを彷彿とさせるようだ。
または、ガブリエル・バンサンの「アンジュール」のような
展開を見たものが想像させるような映画でもある。

年老いた牧夫・生まれて間もない山羊・祭りに切られる樅(もみ)の木、
そして冒頭と最後に出てきた、炭焼きのドーム。
街中に行き交う炭焼きのトラックが既視感を呼び起こしたところで
物語は終了する。

ずーっと昔から続く生活習慣と空間。
教会の埃を水に溶いて飲み続ける牧夫の信心。
現実と信心も隔離されているようでも、祭りは
街をあげて行われる。

生きること・死すこと。その輪廻が、南イタリアカラブリアという
美しい大地に延々と続く。
チベットのラサにも思える城壁の体は、輪廻転生も彷彿とさせる。

久々に静かな、心落ち着く映画を観た。
ただし、事前に睡眠はしっかりとっておくように…(笑)。