花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び (36)

拷問及び残虐


うすうすと気づいているものの、
やっぱり、と思う瞬間がある。
それは、だれもが勘づき、気づき、そして溜息を混じらせる。

福島第一原発で、メルトダウンが生じていたことを東京電力が認めた。
そして次第に明るみになる事実は、やはり隠蔽といわれてもやむなしと思われる
遅延、ぼかし、そらしの発表の積み重ねによる。

見えない放射能に慄(おのの)きつつも、
市民すべてを(そして特に批判的な一部を)「愚民」と決めつけ、
ひたすら「全能」という根拠のない威信やプライドで、
社会に不安と疑心暗鬼を惹起させた。

人は肉体を傷つけられるだけではない。
こういった精神的なダメージが、老若男女すべての心を傷つける。

これはりっぱな拷問であり、残虐行為に思う。


第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。