花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(233) 渋谷・映画文化の衰退

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渋谷の単館上映のミニシアターの閉館が相次いでいる。
ユーロスペースの入るビルも、地下から2階までは、閉館となり、
映画の専門学校のフロアとして、殺伐な雰囲気を醸し出している。

基本、シネコン系のメジャーな映画にはあまり縁がなく、
どちらかというとマイナーな映画を観る自分にとっては、
残念な気がする。

気持ちの良い映画鑑賞とは何か?
やや逆説的かもしれないが、
比較的座席が空いていて(あるいはほんの数人で)
画面を独り占めできるような錯覚のできる状態が良い。

両隣が座られ、おまけに立ち見がいる映画は、
はっきり言って嫌いでもある。
勿論、昔の映画は「大衆娯楽」として、
そんなシチュエーションを是としていたこともあるが、
街頭テレビがなくなったように、映画鑑賞も「個」が主役の時代になった。

では、ビデオやDVDとの違いは何か、というのは、
恐らく、公共の空間でありつつも、比較的「個」でいられること。
それは、属する社会の懐の深さを感じることでもある。

みんな、色々と楽しむものがあるだろうけど、
自分は、こういったものを楽しむ、という
何がしかのコレクションの延長線上にミニシアターがあるような気がする。

映画館は、極めて公共空間に近い、商業施設であると思う。
景気や社会環境に翻弄されるのは、この世の常だが、
せめて、「狭くて・安くて・寛(くつろ)げる」空間は、
残してほしいものだと思う。