花鳥風月記

流れる水に文字を書く

JIN 完結編 最終回

現代の医者が、江戸末期にタイムスリップするという
マンガが原作のドラマ。
昨年、(恐らくは)さほどの期待もなくドラマ化したら、
思った以上の反響、もしくはそれが「素晴らしい」と思えるような、
他局または同局の他のドラマがとんでもなく駄作が続いて、
この完結編にかける期待が以上に大きかった。(何せ60周年)

10年がかりのマンガであったが、ここ数年のドラマでも話題となった
篤姫」や「龍馬伝」などの注目度を上手く利用できたのではないか、とも思う。

原作が終わってからのドラマ完結編とあって、
けっこうな「後出しジャンケンだったなあ」というのが、
正直な感想だった。

原作とは違う、という当初からの展開で、
きっと南方仁は、現代に戻ったら、江戸に行くことはなく、
橘咲は、きっと一人で過ごすのだろう、と思っていたら、
そのとおりの展開になってしまった。

ホスミシンのくだりは、ちょっとイマイチだったが、
咲が、南方仁そのものの記憶まで奪われるという展開はなかなかで、
その見えない相手への「お慕い申し上げます」という
メッセージにズシリ、とくるものをつくろうとしたのは、
脚本家たちの労苦の結果とも思える。

ま、書き手は結構若かったのか、ここ最近流行った
「バラッド」「ちょんまげプリン」「時をかける少女(リメイク版)」の
折衷的な展開ではあったかなあ、とも思ったが…。

ドラマとしては、最近のありがちなすぐにくっついて、
みたいな展開がなくて清々しい。ドラマとしても面白かった。
完成度は、海外に通用するような秀逸な作品になっていると思った。