花鳥風月記

流れる水に文字を書く

ブラックスワン

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

14日はTOHOシネマの日、ということで
日比谷のTOHOスカラ座にて1,000円で観る。
ナタリー・ポートマン主演。映画を観終わった後、
あの「レオン」のマチルダ役の子であったことに気づく。
いやあ、大きくなったもんだ…。

ニューヨークのバレエ団に所属し、
新たに行う「白鳥の湖」に主役として抜擢されたニナ(ナタリー・ポートマン)が、
数々の妄想と幻覚に苦しみながらも、初日の舞台を演じ切る、というもの。
その中には、「母の希望」という幼い頃からの澱(おり)となったものや、
几帳面がゆえの「ブラック」を出せない苦悩と、
対極的な性格の同僚のリリーへの疑心暗鬼がスリラー的な映画へ誘(いざな)っていく。

端的な感想を言えば、良くも悪くもアメリカ映画である、と。
娯楽中心のアメリカ映画で、たまに芸術性のあるものが出てくる。
それは多くの喝采を受けるものとなる。

ただ、白と黒の構図については、かつて見た(50年くらい前?)の
ニューオリンズ」という映画にも、どことなく共通性を感じた。
サッチモが奏でるジャズがまだ認められていないとき、
白人女性が唄う歌は、まさに今回のホワイトスワンを象(かたど)っている印象を受けた。
その映画では、社会制度的な対立軸しかなかったが、
今回の映画は、個人の中で「様式美と独創性」という相対する概念を演じ切る苦悩が
見事に演じられていた。
心象風景が、映像となったその美しさとおぞましさが対照的だった。

ま、ブラックスワンの「黒」の部分がやや短絡的で、
おそらくそこが、ヨーロッパ映画との懸隔になった気がするが、
あんまり重すぎると、くたびれてしまうので、
このぐらいが丁度良いのかもしれない。