花鳥風月記

流れる水に文字を書く

恋の罪

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渋谷のヒューマントラストシネマにて。

園子温作品は、「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」に続いて3作目。
簡単な言葉でいうなら、「更にえげつなくなった」に尽きてしまう。
相変わらず、入口の段階で、見る人間を振り分けしてしまう。

猟奇的な殺人・エログロ・そして憎悪劇。
そこには必ず、道化というか「魔の引き出し役」がいて、
愛のむきだし」では、安藤サクラであり、
冷たい熱帯魚」では、でんでんであった。
今回の作品では、冨樫真という、
この作品の発想となった東電OL殺人事件のあの写真を彷彿とさせた。

何不自由ない生活の中に潜む闇。
何かをしたい、という気持ちが欲求や欲望となり、
逃げ出せない「被害者」と感じ、それが「快楽」にもなって堕ちていく。

ともすれば、安易なロマンポルノの路線にいきそうなところを、
ストーリーの残酷性が観客の弛緩した気持ちに鞭を打つ。
タイトルにある「恋」は実際のストーリーには無関係のように見えるが、
愛すべき対象(それを「城」としていた)に近づきたいと思いつつも
近づけないという「恋い焦がれる」という隠喩にも思えた。
純粋な気持ちが、いつしか泥炭まみれた人生にいきつく。
そんな悲哀もストーリーに織り込んでいるように思えた。

余談だが、同じ時間に漫画家の小林よしのりがいた。