花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び (48)

たる


日本語の用法は、様々な解釈があり、
また、その幅を意図的に残す意味で、ひらがなが重宝されることがある。

例えば「はかる」
漢字であれば、「図る・測る・計る・量る・諮る・謀る」と、
計測や意思確認・謀議に至るまで多種多様である。

「たる」という言葉も
「たり」の連体形と、「足る」という言葉に分かれる。
「議員たる」という表記は、
前者でいうなら肯定的な断定の意味で「議員である」となり、
後者であれば、十分な、という意味で「議員である」となる。
どちらであっても、意味が通じる。

前者であれば日本語古来の文語調での表記ということでもあるし、
後者であればGHQの憲法草案から訳出した可能性も感じる。
きっとこの「たる」には、日米の言葉の「あや」が潜んでいるのだと思う。

この「あや」の解釈も多様ではあるが…。


第四十八条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。