花鳥風月記

流れる水に文字を書く

みなさん、さようなら

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テアトル新宿にて。
中村義洋監督作品。

ポテチに続く、ほんわかしたストーリーの映画。
なんというか、昔のスナップ写真を集めたアルバムを
開いたような、ノスタルジー溢れる映画だった。

例えとして伝わるかどうか難しいが、
あの当時誰かが「このMA-1(ジャンパーみたいなの)は、
カッターでも切れないし、火をつけても焦げないぜ!」と
自慢はしつつも、実際にそれをやろうという人間はいないという
どことなくそれぞれが「奥ゆかしい」側面をもった時代の話でもある。

濱田岳という俳優がいたから作った、というのは過言ではないだろう。
彼を中心に置いて、どんな配役を仕立てるのか、
そういった感じで決まった俳優陣には、
演技の巧拙よりも、映像として、また濱田をいかに際立たせるか、
ということに重きが置かれていたのではないか、と思う。

小学校の時の事件をきっかけに
「団地で生きていく(=団地を出られない)」少年の悟が主人公。
ひとり身体を鍛え、団地をパトロールし、
団地の「平和」を守っている(つもりになっている)。
はたでみると、精神的に病んでいる(実際に病んでいた)ようで
疎まれる部分もありながらも健気に生きていく。

107名いた小学校の同窓生が次々と団地を去るなか、
仕事や恋愛もしながら大人の年代に向かう。
その団地の中で生きる葛藤を描いている。

遠景には、団地・ニュータウンといった幻想共同体への想いもあるだろう。
新たな「過疎」をどう捉えるかという風刺的な一面もあると思う。
個人的には好きな映画だが、普通の人なら1,800円払うには高いので、
映画の日を選んで観た方が良いと思う。

そうそう、「映画泥棒」のフィルムがまた変わっていた。
そっちの方がインパクトあったなあ…。