花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(282) 椅子の思い出

椅子が壊れた。
以前から軋んだ音がひどかったが、
座の部分と支柱を溶接している部分が裂けている。
今の住所になってからだから、24年。良く持った。

とりあえずは、体重を移しながら座って
難を逃れているが、買い替えることにする。
楽天で、安くて良さげなものをポチッとした。

座る姿勢は昔から悪く、
子どもの頃から背もたれなどを壊していた。
その時は、おカネもなかったこともあり、
買い替えるという発想はなく、そのまま使っていた。

しかし、背もたれが外れたまま寄りかかると、
破損部が背中に当たるため、危なかった。

分解して、破損部を片手に自転車で近所を回り、
鉄工所で壊れた部分を溶接してもらった。
それが父親から言われたことなのか、
自分で探してやったことなのか記憶はあいまいだが、
恐らく自分で行ったのではないかなあ、と。

お礼に2千円くらい渡そうとしたが、
溶接工のおじさんも、片手間仕事だったので
「いらない」と言われた。

簡単にパソコンで手に入れられる時代になったことで
ふと、そんなことを思い出した。