花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び (70)

内閣総理大臣が欠けたとき


実りの秋。
四季があって、水に恵まれ、豊饒な土地からは
今の時期に様々な恵みを、まさに「享受」する。
地のモノだけでなく、海や川にも様々な「海の幸」が
時期を変えてひっきりなしに訪れる。
草を食む牧畜も、健やかに育つ。

新米、新そば、初鰹、サンマ…。
天は高く、馬でなくても「肥ゆる秋」でもある。
あらゆるものに信仰が篤いのも、
与えられるものの豊かさにもよるのだろう。

そんな恵みが強奪されている。

福島のかの地では、原発事故の影響で、
農作物の作付、酪農の飼育はかなわない。
漁場では、獲った魚を海に捨てている。

豊かな陽光、爽やかな風を身体に感じることなく、
ガイガーカウンターを手に、あっちが濃い・薄いと
防護服の中で、オムツをつけながら、
その施設の「おもらし」を止めようとしている。

この国の総理は、重装備でそこを急ぎ足で歩く。
防護服の主はもはや、名前まで間違えられている。

「アンダーコントロール」って何だ?


第七十条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて
     国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。