花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び 2014年憲法記念日社説を読む

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2014年の憲法記念日(5月3日)の社説を読み比べる。
近年、というより今年特に感じたのが、新聞の入手のしにくさである。
東京メトロは、祭日は大手町であっても売店は閉まっている。
JR東京駅にいって、ようやく主要各紙を買う。
近年では、デジタル版が出てはいるが、読み比べは明らかに
新聞紙の方が良い。

そうして、朝日・毎日・読売・日経・東京(中日)・産経の6紙を読み比べる。
今回の焦点はいずれも「集団的自衛権」の政府解釈の変更と改憲となった。
朝日・毎日・東京は「集団的自衛権」の政府解釈の変更に反対、
読売・産経は賛成と予想通りの展開。
朝日の社説は、「平和主義の要を壊すな」という
メッセージを前面に出している。
また、毎日の説の反対の論理が分かりやすく、
…安保は憲法に従属する。その逆ではない。
憲法が安保に従属するなら、日本は「逆立ちした国家」になる…
としている。まさに逆立ちしたカバになる、ということだろう。

時の政権によって、たやすく変えられることに危機感を感じる立場と、
千載一遇のチャンスと躍起になる立場が透けて見える。
産経の社説(主張)は、護憲派の時間稼ぎだ、と正直な感情を「主張」している。
日経、政府解釈の変更をすれば、改憲の流れは遠のく、と
そのあたりをシニカルに語っている。

解釈変更でなく、そのルールを守れ、というのは各紙で共通した概念ではあるが、
東京の社説では、護憲の集会に「思想性」がある、ということで
自治体はおろか、明治大や慶応大などでも施設利用許可が下りない、
という萎縮した空気が漂っている、と書かれている。
その反面で、昨年の96条改憲の動きもあり、市民の警戒感は強く、
今日付けの世論調査では、護憲を意識する数字が高まっている。

やはり、憲法という国家の体系を軽く見るという
安倍政権の暴走に危機感があるようだ。

毎日の社説の最後に、ルソーの印象的な言葉があった。
「理性と判断力はゆっくり歩いてくるが、偏見は群れをなして走ってくる」

今まで決してされたことのない、じっくりと時間をかけた議論が望まれる。