花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日日是好日

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イオンシネマ市川妙典にて。
初めて行ったが、車窓からマイカルシネマの頃から
見えていたので、かれこれ20年以上は経つだろうか。
シネコンの中でも所々に年季が感じる。
椅子もやや狭い。

樹木希林の遺作にも近い作品。
茶道の教室に通う、進路を見いだせない女子大生が
その後の人生と茶の道をシンクロさせていくような
そんな時の流れを描いている。

フェリーニの「道」が時折出てくるが、
静謐ではないものの、「外の音」に敏感になれる
「静かさ」を随所に感じられるように工夫されている。
字幕に出てくる季節は二十四節気を使い、
「茶道の正しい映画表現の在り方」を示しているような気がした。

ストーリーに大きな抑揚はないが、
登場人物や描く世界をギリギリまで絞り込むことで
濃淡が表現されていた。
樹木希林黒木華の世界が、
日本映画のあるべき映像技法・文体のように思えて
どことなく心が安らかになる。

映画のラストも「転生」や「生」を感じさせたことは
いち現役で生涯を閉じた樹木希林のメッセージのように思えた。