花鳥風月記

流れる水に文字を書く

華氏119

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日比谷のTOHOシネマシャンテにて。
ここもだいぶ古くなったなあ…。

マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画
華氏911」から「華氏119」へ
そんな流れにも思えるが、個人的には
「シッコ」の続編のように思えた。
あの時に対峙したネトウヨの走りのような存在が
ここ数年で「妖怪」のように大陸に蔓延(はびこ)るようになった。
言うまでもなくトランプ政権の誕生である。

その誕生の原因を共和党のみならず民主党にも追及していた。
その一端を見出したのが、生まれ故郷のミシガン州フリントでの
出来事だった。

市政を民営化させるという、日本でも聞いたことがあるような政治は
取り巻きの企業を富ますばかりか、市民の財産を侵食する。
それが命と等しい「水」であっても。
やがて抗議運動が大きくなり、ついにはオバマ大統領(当時)の
登場で最高潮に達したが、そのふるまいはあまりにもがっかりと
させるものだった。
つまり民主党も「コンプロマイズ(妥協)」のもとで
共和党と何ら変わりがなくなり、支持者が離れた。
ヒラリーが負け、トランプが勝ったのは
その政治的な「空白」があり、そこに付け込まれると
ついには独裁への「善意の舗装」が待ち受けているのだろう。
そんな問題提起であると受け取った。

またマイケル・ムーア自身が今や「エスタブリッシュメント」で
政権に近い人間関係も構築されていることに自ら警戒感を覚えている。
かつてのような傍若無人な取材はできないにせよ、
いまの彼自身の立場から訴えるものは傾聴に値するだろう。
そしてこの映画はおそらく中間選挙を意識して作られているだろう。
「とにかく、止めないと」という思いが伝わる。

と、この映画を中間選挙前日に見た。
結果については、上院は共和党過半数(改選数がもともと少なかった)、
下院は民主党過半数となった。
映画に出ていた候補者も「史上初」の連発で当選していた。
確かに時代を動かしている映画でもあるし、
映画だけでなく、時代が動いている。