花鳥風月記

流れる水に文字を書く

主戦場

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渋谷のシアター・イメージフォーラムにて。
この映画こそが、5月1日に行ったら、満員で観れなかったものだ。
連休明けに再度行ったが、それでも残りは数席だった。

年齢層は幅広いが、少し上の層が多いかもしれない。
しかし意外な有名人?も観に来たあたり、
関心度の高い映画であることは間違いない。

従軍慰安婦問題について、
否定をする側と告発する側との意見を
整理した作りになっている。
「主戦場」というタイトルの通り、
否定する側にとっては「歴史戦」であり、
「戦場」であるのかもしれないが、
取り巻く環境は「戦い」といえるようなものではないだろう。
それはこの「主戦場」という「場」を設(しつら)えたことで
明白になったような気がする。
勿論、ウソや誇張はタブーであり、犠牲者の数や年齢など、
「右」も「左」も冷静かつ客観的な判断が求められる。
また、韓国にも朴裕河が問題提起するような部分も
きっとあるのだろうが、そこはまだ話し合える段階ではないのだろう。

「両論併記」というと、「お互いの意見を公平に」という、
日本であれば、価値判断を放棄するような逃げ込み方をしそうだが、
日系のデザキ監督はそこを勇気と秀逸さによってクリアしている。
否定派の意見を聞きつつも、その歪さを事実でもって示している。

そして映画の大団円には、ドキュメンタリーにはなかなかない、
ラスボス(本当かどうかはアレだが…)という存在感まであぶりだしている。
人間に知性と英知があれば、結論はおのずから導き出される、ということを
この映画から感じることができるだろう。

もう一度見たい、と思ったのは初めての感情だ…。