花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景 (4)

小さな罪悪感。
蝉の死骸を踏んづけてしまった。
何の抵抗もなく、半分が粉末のようになった。
生命が宿っていれば、ジジッという鳴き声と体躯の反発があるはずだが、
一切の抵抗の手段を持たなかったその姿に、僅かばかりの罪の意識を感じた。
亡骸とは、確かに、もう何もない、ということだが、
形は残しつつも、そこには霊験さが潜まれている。
生きたものを殺生し、標本や剥製にすることはあるが、
よほどのことがない限り、死んだものをわざわざそうはしない。
やはり「生」と「死」の境界線はそこにはあり、
冥界からは、人間が何か引き戻す、ということは
遺伝的に「禁忌」としてしまっているのかもしれない。
どんな形であれ、生命に対する人間の営みは、
「生から死への旅立ち」を「見送る」ということで繋がっていく。
無論、決して逆はない。

第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、
内閣が、その責任を負ふ。