花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景 (5)

真夜中の太陽
終電で到着した駅から自宅までの道のりで、
周囲が意外と明るいことに気付く。
今までも通った道なのに、と思い、ふと周囲を見回すと、
電灯の一つひとつが、今までよりも明るくなっている。
公園の中なので、防犯の一環かもしれない、と思いながらも、
ちょっとした変化が、少し違和感を覚えた。
普段耳にする虫の鳴き声のほかに、蝉が鳴いていた。
習性として夜行性があるかどうかは分からないが、
白く煌々とする電灯にしがみつき、精一杯、自分の本分を果たしていた。
電灯の一点を見つめる。勿論、昼間の明るさには程遠いが、
目を閉じると残像が残るほど、一つひとつは明るい。
遠くに目を移すと、等間隔の光の他に、ひときわ目立つ光の塊がある。
24時間、決して明かりを絶やさないその世界には
習性を乱した人間が徘徊する。
夜空の星はずいぶんと遠くなった。

第四条
1 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。