花鳥風月記

流れる水に文字を書く

俵屋宗達 「風神雷神図屏風」

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上野の国立博物館・平成館を再訪。
この夏からソデにされ続けた、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」を見に行く。
銀座で映画⇒上野で閉館30分前に入館⇒再び銀座で映画、という
変則的なスケジュールではあったが、30分1,500円を全てここにつぎ込んだ。

会場には、俵屋宗達尾形光琳酒井抱一・鈴木其一の「風神雷神」が
勢ぞろいしていた。なかなか圧巻な風景。
一つ一つをじっくり見る。意外にここに留まる人も多かったので、
以前来て、観られなかった、という人は結構多いのかな、とも思った。

俵屋宗達の「風神雷神図屏風」は17世紀の作品だから、400年くらい前。
当時の顔料の質は分からないが、風神のミドリが、くすんだ印象。
ただ、国宝だけに風格を感じた。

尾形光琳が18世紀、酒井抱一と鈴木其一が19世紀の作。
それぞれの模写のなかで、前回同様、
尾形光琳が発展させ、
酒井抱一が継承に力を注ぎ、
鈴木其一が独創的に解釈した、
という印象が強く残った。

雷神の顔の影が時代を追うごとにくっきりと表れ、
また、雲の流れも、雷と風の違いが明確化している。

鈴木其一の「風神雷神」は屏風ではなく、襖に描かれたものだが、
広い襖を躍動感溢れる姿が素晴らしい。

閉館まで、4つをとことん見比べる。
前回以上に贅沢な時間を使った気がする。
展示は量も大事かもしれないが、
展示する作品の「重み」も大きいのだなあ、と思った。
他の作品を気にしすぎて、駆け足で回るには勿体ないと思った。
今回は正解。30分1,500円が決して高いと思わなかった。