花鳥風月記

流れる水に文字を書く

展示を二つ

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東京オペラシティ・アートギャラリーでは、
蜷川実花展以外にも企画展があった。

会場は一つ上の階。
蜷川の色鮮やかな写真と対照的に、
モノクロの版画・絵画の展示。

来訪者も、どちらかというと早足で、会場を回っていた。

一つは、「ブラック&ホワイト 磯見輝夫・小作青史」展
こちらは版画。
構図や描写の力強さが、版画特有のもので、
それゆえの武骨さも感じる。
色の濃淡やカスレ・汚れが、
写真でいう「アレ・ブレ・ボケ」というものに呼応しているような気がした。
非現実的な構図が、抽象的な世界をモノトーンという
どこか胎道を想起させるような郷愁を誘う。

もう一つは、「ましもゆき」展。
こちらは、マンガに近い日本画
恐らく漫画家が使うようなペンの類をつかっているのか。
かなり細密で技巧を凝らしている。
《前夜祝》や《花と武器》といった作品は、
曼荼羅的な要素やメルヘンチックな部分が絡み合う。
少女漫画でも、どこかミステリアスなモチーフで描かれているような
そんな感じがした。
ただ、そのスケールの大きさが、どことなくこの絵を観るために
立ち止まらせた。
こちらは夢の中で見たような―それも熱にうなされている時に―
禁忌的な(近寄ってはいけない、近づいたら引き込まれてしまうような)ものを感じた。

これらはこれで、充分に楽しむことができて良かった。