花鳥風月記

流れる水に文字を書く

マネとモダン・パリ@三菱一号館美術館

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今日は夕方からの仕事だったので、東京駅にあるという、
この美術館に初めて行く。
TOKIAビルの奥、ということで割と分かりやすかったが、
大きなビルが建ち並ぶなか、ちょこん、というか結構な重厚感がありつつも、
落ち着いた雰囲気の場所だった。
美術館の園内には、ゆったりとしたカフェもあり(入れなかったが…)、
ランチビールを楽しむ人もいた。(仕事中ではなさそうだったが…)

フランス絵画の美術史において、常に太字で記されるエドゥアール・マネの作品を
80余りを観られる企画。同時代の他の美術家作品も合わせて展示されている。

「サマランカの学生たち」から始まるマネの展示群は、
当初の陰陽(明暗)を利用した写実的な描写であったが、
描く対象を市井の生活に目を向けることで、当時の美術界からの
厳しい批判に晒される。
「死せる闘牛士」はなかでも、元あった絵から切り離し、加筆されたものであり、
どことなく反骨精神が伺える。
また「エミール・ゾラ」は竹野内豊のような風貌の奥に、
浮世絵が飾られてあったことが、日本文化が欧米への伝播・影響を与えたことが分かる。
その後、ナポレオン3世の失脚後、パリコミューンなど経て、郊外に移り住む頃から、
印象派と思しき筆致が見えてきた。
実際、印象派とはなんなのか、といわれたらよく分からないが(苦笑)、
ある種の写実性の排除、というか輪郭よりも色彩に重きを置いているように見える。
「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」を含む、肖像画に使われる黒に圧倒され、
「ラティユ親父の店」で夫人を口説く、オッサンの手に持つシャンパンの
光と影の描写力は圧巻で、対象にたいする視線の鋭さに感銘した。
夜会を描いた作品では、夫人方はどんだけコルセットで絞るんだ、
というツッコミを入れたくなったが、往時の雰囲気を知るには
映像の復元よりも、絵画で想像する方が面白い、と分かった。

マネの企画展示は珍しい、とのこと。
寡作であり、代表作は、そこの目玉、ということで
なかなか集めることは難しい、とのこと。
確かに「草上の昼食」「オランピア」といったものは無かった。
しかし、新参の美術館では先ず考えられないようなことをできるのが、
三菱の力なのだろう。館員は結構多かった。「人は石垣・人は力」(田中角栄?)

ちなみに鑑賞料は1,500円。エレベーターに同席した老夫婦は、
「三菱は●●だから…」ということを行っていた(苦笑)。
それは共感を得る人が多いだろう。
板張りの床は、重厚感はあるものの、靴音がカポンカポン、とうるさかった。
展示経路は入り組んで、ドアが何枚もあり、
忍者屋敷のようで面白かったが、ちょっと高齢者には厳しいかな、と。
ミュージアム・ショップは、他と変わりなかったが、
一箇所だけ、ココだけ、というのを発見。
あら、香川照之…。