花鳥風月記

流れる水に文字を書く

東京島

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銀座のシネスイッチにて。

無人島に取り残された、女一人と多数の男。
現代社会と対極をなす状況のなか、
ある種の「社会」が生まれ、崩れ、というのが繰り返される。
漂着する「闖入者」も絡み、ゴールがみえない競技のような展開となる。
その中で、女一人の清子は、女としての生き方を
肯定と否定、または武器とし無力な存在として彷徨する。

原作は結構面白く、映画化されるのを聞いて、
どんな仕上がりになるか、期待もあった。
反面、キャストを聞くと、不安も正直あった。

結果から言うと、不安が的中した。
今年の不動の下位に相当する。

思うところをとりとめもなく書いてみる。

まず、主人公清子(木村多江)が「美しすぎた」。
顔は勿論のこと、スタイルも良すぎ。
だからいくら「ババア!」となじっても、
観てる人は「えっ、この人が?」という違和感を持つだろう。
イメージがどうしても「静的」で、「動的」でも「性的」でもなかった。
どうせなら、もっと踏み込んで、熟々とした配役でも良かったのでは、と思った。

次に、ドゥーベン渡辺(窪塚洋介)が「若くてかっこよすぎた」。
彼の個性は、都会的な感じで、こういった大自然の狂気とは若干違う。
もっと、脇役としてのアクの強さに長けた人物の方が良かったと思う。
正直なところ、配役は殆どが、ずっぽぬけ。
適役だったのは、オラガの柄本佑。個性的だから配置にハズレがない。

気になったのは、エルメスが特別協賛になっていたこと。
無人島の服装をファッションで捉えたら、もうアカン、と感じた。
ちょっと出すぎた感があった。
ちなみに旅行カバンが真っ白だったのは、
敢えてヴィトンを意識したのか?
普通に考えて、結婚20周年で、世界一周の船旅をするくらいな夫婦なら、
ヴィトンのバックくらい持つだろう。
他社のエルメスだから、地味な白にしたのか?
(もしかしたら、あのカバンもブランドものかもしらんが…)
きっと特別協賛がヴィトンなら、あのカバンは違ってたな、と勘ぐってしまった。

うーん、よくよく考えてみても、作り手はちょっと「ウケ」を意識しすぎたのかなあ。
20代後半以降の大人の女性対象、という感じがしないでもない。
しかしそれは、雑誌でいうなら朝日の雑誌「AERA」のように
中途半端で、面白みのないものになってしまったのがつくづく残念だった。