花鳥風月記

流れる水に文字を書く

シュルレアリスム展

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国立新美術館にて。
ここは火曜日休館のため、月曜日の美術館めぐりには良い。
(他はほとんど月曜休館)
乃木坂から行ったが、節電でエスカレーターが使えず
階段を上るのが少々キツかった。

「パリ、ポンピドゥーセンター所蔵作品による」という副題がある。
確か、大学時代の教養科目で「芸術論」か何か取ったとき、
ダダイズムシュルレアリスムを学んだ。
遠い記憶ではあるものの、確かビデオを使った授業だったので
何となく覚えていた。

シュルレアリスムとは何ぞや?という問いの「答え」に
苦心するが、そこはあらかじめ「リサとガスパール」という
キャラクターによるポケットガイドが用意されていた。
それを引用すると…
1924年、フランスの詩人アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を
発表したのをきっかけに世界中に広まった、夢や無意識の世界に新しい美と真実
を求める芸術運動。
シュルレアリスムの画家たちは、常識や理性にとらわれない純粋な美、
現実をつきつめた“超”現実を描きだすためにいろいろな方法を考え出しました。
ブルトンを中心にメンバーが集まって運動は40年以上続きました。
今もアートだけではなく広告やファッション、アニメーションなど
いろいろなところにその影響がみられます」

この展示会のテレビCMでは頭脳警察の「銃をとれ」がかかっていたので、
結構飛んだ感じの展示かと思ったが、展示方法は割と上品だった。
見に来た人は結構な感じの人もいて、それも何となく「観賞」した。
今回、なぜか声をしゃくりあげて泣き出した係員を見た。
なぜか分からないが、こんなのも初めてだった…。

芸術運動とはいえ、既成のものを否定する、という考えは
時の為政者ににらまれることもあり、アメリカに亡命した経緯もある。
作品群の中には、様々な試みを実践した経緯が見て取れた。

また、芸術の一分野にとらわれない奔放さも感じた。
中でも、写真が有名なマン・レイも絵画に挑んでいた。
マン・レイの写真やオブジェにたいする柔らかな曲線への
執着心が結構好きなのだが、「森の中の工場」という絵画は、
金地に彩色を施した印象は、日本の屏風絵を彷彿とさせた。
明らかに写真とは違うアプローチが興味深かった。

また、今回ダリが1点だけ(「不可視のライオン、馬、眠る女」)
展示されていたが、やはり目を引く色の鮮やかさだった。
そこは人だかりが途絶えることはなかった。

欲を言えば、アメリカ亡命時に影響のあった
ポロックあたりの絵も見たかったなあ、と。
また、シュルレアリスムの系統のみの展示だと
食傷気味になるかと覚悟したが、表現や技術に
かなりの幅があることが分かり、興味深かった。

ただ、ちょっと疲れたが…。