花鳥風月記

流れる水に文字を書く

フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展

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渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムにて。
シュルレアリスム展のあと、乃木坂から表参道で乗り換え、渋谷へ。
無休で19時までだから、16時半についても余裕で鑑賞できた。

ドイツ・フランクフルトにあるシュテーデル博物館に所蔵されている作品群を
改装工事のため、まとめて展示できる機会が得られた。
その中には、30数点しか現存しないなかの1作、
フェルメールの「地理学者」もある、とのこと。
以前、上野の東京都美術館で見たこともあり、関心があった。

やはり思ったのは、フェルメールの作品は、基本小さい。
後に買った書籍によると、レンブラントの大作「夜警」1枚の
大きさに全作品がすっぽりと収まるようだ。
おまけに、フェルメールの作品だけ、木製の重厚な柵があり、
どう頑張っても1.5メートルは離れてしまうことに。
これでは細かい筆致が観れたものではない。

ということで、表現の緻密さは、他の作品で確認することとなった。
光の明暗が美しく描かれる、その背景には、きっと現代では分かり得ない
「明るさ」の貴重さ、というものがあろう。
昨今の震災で感じなくはなくなったが、蛍光灯があるわけではなく、
陽の光か、燭台のともしびの中にみえる光と影が
時に幻想的というか、ものの形容をいきいきを描出する。

度々、西洋画の金髪・白髪のしなやかさや、
肉体の曲線美に感嘆する。
但し、フェルメールをメインにした展示会で以前も感じたことだが、
その周辺の画家の作品が多くでて、やや冗長になってしまうきらいがある。
今回も、確かに有力な美術館の作品展ではあるが、
恐らくは、「その土地で貴重な」ものの展示であって、
表題の展示会の表記だと、やや違和感も感じた。
これは以前のフェルメール展でも感じたことだが、
寡作ゆえの宿命なのかもしれない。
しかし、シュルレアリスム展と作風が対照的で、面白かったのは確かだ。