花鳥風月記

流れる水に文字を書く

セザンヌ パリとプロヴァンス

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六本木の国立新美術館にて。
観る予定はなかったが、本日最終日、ということもあって、
乃木坂まで向かう。

観に行くまで、ルノワールとごっちゃになっていた。
「近代絵画の父」と称され、印象派画家から独自の作風まで至った軌跡を
パリとエクス=アン=プロヴァンスでの創作活動を意識しながら、展示していた。

展示約90点がすべて、セザンヌの作品。
観てみると、作風の変遷が見て取れる。
正直、印象派の鑑賞は、なかなか難しく
どう解釈すべきか、とも迷うものが多々あったが、
やはり一番大きな要素が強いと思ったのが、「光」だった。

思えば、光がある時間は、今と違って、約半日。
夜の燭台の光は、恐らく覚束ないものであろう。
だからこそ、南仏の鮮やかな陽光が、限りない白を浮き立て、
もしかすると目が眩(くら)むような鮮やかさが、
弧線の界域を緩やかなものとしたのではあるまいか。

そして、その白と対極をなしたのは、黒ではなく、緑ではないか。
それは、緑が映えて浮き立つところから、そう感じた。
壁に書いてあった、書簡の文章も印象的だ。
「緑はとても快活な色彩のひとつで、眼に最も良い色なのです」

作品の中で、印象的だったのが、四季の壁画。
夏と冬を先に描いてから、春と秋が作られた。
そのせいか、左から秋・冬・夏・春となっている。
今回は、絵画のみならず、
セザンヌが生きた空間も共有できるような展示で興味深かった。