花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎 「残り全部バケーション」

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伊坂幸太郎の新刊本。
チビチビ読みながら、後半は一気に読んでしまった。

「当たり屋」などの裏稼業をする溝口と岡田を中心とする物語。
それぞれが独立した短編の集合体でもある。
ストーリーの元が、最初の「残り全部バケーション」。

溝口が保身のため、相棒だった岡田を、
裏稼業の首領でもある毒島に売ってしまったことから、
岡田をとりまく(時にはいなくとも存在感のある)
ストーリーが編まれている。

登場人物が、ひょんなところで絡み合うのは
伊坂ならではの設定だなあ、と感じる。
また、文章にも工夫があって(これはよくあることだが)、
会話の長さがきれいに揃っていて、
リズムがしっかりと刻まれている。

最後は思わぬ展開となったが、
ラストは「バイバイ・ブラックバード」を彷彿をさせた。
…といってしまうと身も蓋もないかもしれないが…。

読んでいて楽しめた、年末の一冊。