花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想 番外編 メンズハウス コバット@静岡

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味噌屋のビールでいい気分になりつつも、駅を目指す。
神社につきあたり、その横を進むと、洋品店が見えた。
入口には「閉店セール 半額以下 ひやかし歓迎」などの文字。
ひやかし半分で入ってみる。

整然とは言わないまでも、ディスプレイされた洋服に、
うずたかく積まれた在庫。奥から店主が現れた。
白髪で髪は後ろに長している。昔はやんちゃな人だったのかもしれない。

待ってましたの歓迎。
いつもは「サイズがないですよね」がこちらのキラーワードなのだが、
どんどんと棚の奥をひっくり返しては、包装のビニールをビリビリ破く。
値札はシャツでも2万円から4万近くのものまである。
中にはバブル期に流行ったベネシャンのダブル、
演歌歌手でも恥ずかしくて着なそうなニット地の派手なジャケットもあった。
「トップのブランドはリバイバルするんです」と強弁していたが、
いまだその兆候はない(苦笑)。

「ひかやし歓迎」はどうやら店主が主語のようで、
次々と試着をさせられた…。

その中に落ち着いた黒字のスタンドカラーのシャツがあった。
キラリとオジサンの目が光り、
「21,000円だけど、9,000円でいいよ」の一言で、購入。
お店は45年間続けたそうだ。
かつては、神社の縁日で、こっちの人(頬に手刀を入れる)に
沢山買ってもらって儲かったが、今は昔となってしまったそうだ。
今年の8月に店を閉めるそうで、3月くらいからセールをしている、とのこと。

なんか、「見つけた」と「失った」が同居するような感覚に陥った…。