花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本の青空

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横浜黄金町のシネマベティにて。
この映画館は、社会的なテーマを扱ったものを上映する。
気にはなっていたが、なかなか遠かったので、今回初めて行く。

日本国憲法の成立について、従来からGHQによる「押し付け憲法」と批判されるなか、
実はその底流には、鈴木安蔵という市井の憲法研究者が作り上げた
憲法草案が土台にあった事を物語として映画にした。

この映画の製作背景には、憲法改正の雰囲気が膨らんだ時期に相当する。
作り手の情熱・支える人々の情熱の結晶と言えるかもしれない。
いわゆるロードショーという配給形式ではなく、自主上映がメインとなり、
一般には目に付きにくい。

だからこそ、この新事実というか、知られざる事実を広く知らしめるものに
する必要がある。

あえて言うべきなら、映画の作品の質としては、物足りないものを感じた。
善意の中で作られたものだから、その「足かせ」のようなものがあったのか。
護憲運動をする人たちの「学習映画」としては、これで良いのかもしれないが、
いわゆる「知らない」人たちが見ると、どうなのか。
これが、作った側、そして作るのを支えた側の満足だけで済んでしまうなら、勿体無い。

演じ手ももう少し「深み」が欲しい。
田丸麻紀派遣社員で雑誌記者という設定もちょっと無理があるし、
宍戸開の白洲次郎役は、正直落第点だと思う。

この映画を製作する際にきっと様々な試行錯誤や考えもあったかと思う。
しかしながら、今の時代はもっと「先に」そして「深く」、
この作品を求めているような気がしてならなかった。

今日見た夕方の回も観客は20名に満たない少ないものであったが、
終わったときに起こった拍手、そしてその寂しさは、
今の時代を皮肉にも象徴していた。