花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景 (79)

「せんぬき」と「かんきり」

休みの日に、何とはなく見ていた昼メロで気になるシーンがあった。
中学生くらいの子が、風呂上りにオジサンだかオジイサンのために
ビールを開けようとして、かなり不恰好に栓抜きを使っていた。

NGシーンでは、と思ったが、
考えてみれば、今の子達が栓抜きを使う機会は殆どない。

確かにペットボトルが主流の昨今、
ガラス瓶での自動販売機はおろか、店先でも販売はなくなっている。
きっと今の子達は、ガラス瓶用の冷蔵庫についている栓抜きも使えないのではないか。

確かに、ガラスの扱いは手間だが、環境問題を考えれば、リサイクルにもなる。
空き瓶は、10円くらいで引き取ってもらえるから、小遣い稼ぎにもなった。
そういえばコカコーラの類似品で30円くらいのコーラもあった。

缶ジュースもプルタブが離れたタイプのものはなくなった。
プルタブのゴミはなくなったかもしれないが、
缶そのもののゴミはなくなったとは思わない。
むしろ増えてるんじゃないかと…。

缶といえば、缶切りを使えない子ももう、増えているだろう。
自分達の頃も、まれに一人くらいはいた。
今は、パックリとふたが開く缶が増えている。
しかし、そうなると缶ジュースのプルタブの二の舞になる。

昔は、ビンも缶も貴重な「資材」だった。
そのモノから、何かを考えて使う工夫があった。

ビンは貯金箱でお金を入れる人もいれば、
元気かつアブナイ大人は、燃料を入れて火を着けて投げていた(!)
↑コレが良いとは思わないが…

缶はいうまでもなく「缶蹴り」に重宝する。
スチール缶のゴツイのは、紐をとおして竹馬のような乗り物にして遊んだ。

風をはらみ、熱い寒いを肌で触れ、痛みを感じる。
今ではそれがみんな、TV画面を通しての代用物になってはいないか。
人は「感じる」ことを直接的なものから間接的になると、
歪(ゆが)んでしまうのではないか。

近い将来、デモや学生運動も、wiiやプレステでやるのだろうか。
国会議事堂前を、機動隊との衝突を避けながら、いかに練り歩くか。
また、衝突の際にいかに催涙ガスをくぐり抜けて火炎ビンを投げつけるか。
(なんか戦国武将ゲームみたいで案外面白いかも…)

その先には、捕まって裁判にかかる、というストーリーまでが
RPGとして設定されるのか…。


「シュポッ」と栓を抜く。
それがもしかしたら、「普通の」人間社会に残された
最後の脈動なのかもしれない。


第八十条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、
     内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任される
     ことができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
   2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
     この報酬は、在任中、これを減額することができない。