花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(179) サービスとセットの違い

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元来、流行で人が多く行くところに行きたがらない。
大抵は、近所で適当に買ってしまうか、
昔から行っているところで買うか、
閉店セールのドサクサや現品処分で安くあげるか、なので
決して「賢い消費者」ではない。
単に「めんどくさがり」なのかもしれない。
ただ、モノを買うことには「こだわり」がある。

未だにユニクロに入ったことがない。
GAPは銀座でハーフコートを1回だけ買ったことがある。
不思議なことに、そのコートはいつの間にかなくなってしまった…。

家電についても、最近急成長している販売店の殆どにいったことがない。
好き、というわけではないが、ヨドバシで何の不自由を感じなかったから。

今回、初めてその家電販売店の中で、規模が急成長している「K」に行った。
ショッピングモールのなか、大きな売り場で、照明のルクスも高めな店内。
父親とデジカメを買いに行く。

この種の販売店の悪弊として、正社員数を切り詰め、
販売員がメーカーからの出向で賄っていることが多く、
今回もこの種の状況だった。
専門員の講釈の速射砲を受けるよりも、落ち着いてモノを選べたので、
特に問題を感じなかったが、問題はその売り方にあった。

たまたまSDカード・修復ソフト・カメラケースの3点セットで、
気に入ったものがあったので、商品を決めると、
正社員と思しき人が、その組み合わせを揃えてレジに案内される。

購入後、そこのフードコートで、休憩しながら商品を確かめたら、
カメラケースが別メーカーのもので大きすぎる。
買ったカメラは名刺や携帯に近い大きさなのに
昔の小型カメラのようなケースが袋に押し込まれていた。

早速店に戻って、その旨を伝えた。
レジの女性が、正社員風の店員に報告をしていたが、反応が遅い。
そこに行って苦情を伝えた。

最初は、これはどうにもならないんだ、という表情と物言いだったので、
秘技「じゃあ、どうするんだ、使えないゴミを押し付けるのか」
と声低めて(荒げてじゃない)・瞬きせずに相手を睨んだ。
こういうとき、文句だけをつけるのではなく、答えさせることも大事で、
その答えがおかしいときには、そもそも論で、追及するのが効果的。

この売り場でのセットではない、と責任逃れをし始めた。
父親はその場で苦情を伝え、自分は本社に電話でクレームをつけた。
向こうにとったらイヤかもしれないが、真っ当な主張だと思う。

結局は、サイズの小さいものに代替することで、後日付けてもらうことになった。

正社員風の人の対応もイヤだったが、ここの商売の発想も嫌だった。
例えば「これは大きすぎるけどサービスでつけときますね」なら
そのバック自体の価値はゼロが前提で、大きすぎても分からなくもないが、
「3点セットで…」とくれば当然、3点すべてに商品価値を見出すのは当たり前。

こっちからみても、そんな大きなカメラケースは売れ残るだろうことは
分かりきっているのであって、いかにも在庫を処分するような、
それでいてそれを「ありがたみ」のような伝え方をする方法に腹が立った。
だから、こういった店は嫌なんだよなあ、と思ってしまう。

多く売れることと、多くを売り捌(さば)くことは、本質的に意味が違う。
消費者が気持ちよくおカネを出すことが商売の基本であって、
「掠(かす)め取る」とか「毟(むし)り取る」とか「搾(しぼ)り取る」ことではない。
「急成長」とは響きの良い言葉かもしれないが、
何となくその背景にあるものの胡散臭さを感じ、
生理的に二の足を踏んでしまうのかもしれない。
そういう意味では、「賢くない」ほうが、自分には合っているような気がする。