花鳥風月記

流れる水に文字を書く

桑原史成写真展 「不知火海」

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銀座ニコンサロンにて。

銀座の街並みも変わってゆく。
向かい側にあった、ドイツワインの専門店が
再開発の為、閉店・取り壊しとなっていた。
今、足立区・綾瀬にあるようだが…。

長らく水俣病を写真に収めている写真家の桑原史成の
集大成とも言うべき写真集が発売され、そのイベントとして、
展示されている。このイベントは、先日の朝日新聞の記事で知る。

展示では、昔と今にスポットをあてて展示しているようだった。
初めて「水俣病」の存在が明らかになった時、
公害病として社会の運動としてうねりが上がった時期、
そして近年の様子(参列する政治家)など…。

その時代的な経緯から言って、
どことなく原発事故と通底するところが感じられる。
国の失敗、政府の失敗、企業の失敗。
ひたすら隠蔽、強いられる苦しい生活、いわれなき差別。
その負の連鎖は、本人だけでなく、産まれてくる子供にもつながる。

しかし、そこには「宝子(たからご)」として、
母親や、その下の兄妹の代わりに病を一身に受け止めた子ども姿があった。
また、可憐な少女が発症して「生ける人形」と言われるようになっても、
その少女の美しさを「まなざし」を大写しにして表現している。
そこに生きる人々の慈しみや美しさも写真に収まっていると感じた。

変形した老人の指は、その後、「水俣展」のアイコンとなった。
随分昔にみた「水俣・東京展」を思い出す。
写真集も購入し、サインももらった。